髄液オレキシン低値をともない過眠症を合併した単純ヘルペス脳炎の1例

  • 向野 晃弘
    日本赤十字社長崎原爆病院神経内科 現 長崎大学病院第一内科神経内科
  • 木下 郁夫
    日本赤十字社長崎原爆病院神経内科
  • 福島 直美
    日本赤十字社長崎原爆病院神経内科
  • 大坪まゆみ
    日本赤十字社長崎原爆病院放射線科
  • 神林 崇
    秋田大学医学部神経運動器学講座精神科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A case of herpes simplex encephalitis with hypersomnia and low orexin level in the cerebrospinal fluid
  • 症例報告 髄液オレキシン低値をともない過眠症を合併した単純ヘルペス脳炎の1例
  • ショウレイ ホウコク ズイエキ オレキシン テイチ オ トモナイ カミンショウ オ ガッペイ シタ タンジュン ヘルペス ノウエン ノ 1レイ

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抄録

症例は60歳女性である.2011年11月上旬から38°Cの発熱,異常言動で入院した.混迷状態で,脳脊髄液細胞数は55/μl(単核球)と上昇していた.頭部MRIは右側頭葉内側から前頭葉底部,島,左視床,右小脳半球などにFLAIR高信号域をみとめた.経過中に髄液抗単純ヘルペスウイルスIgM(immunoglobulin M)抗体値は2.90と陽性で,単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis; HSE)と診断した.アシクロビルとステロイドパルスを開始し,症状はすみやかに改善したが,髄液オレキシン低値をともなった過眠が顕在化した.HSEでは意識障害が前景に立ち,早期の正確な所見の把握が困難になるが,病巣の広がりによりまれな合併症の存在にも留意する必要がある.

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