鈍的外傷を契機とした腸管気腫症に伴う門脈ガス血症に対して緊急手術を施行した1例

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  • A Case of Hepatic Portal Venous Gas Related to Traumatic Pneumatosis of the Ileum Successfully Treated with an Emergency Operation

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抄録

症例は84歳,女性。歩行中乗用車に轢かれ受傷し,救急搬送された。搬入時,左上肢の多発骨折と左大腿骨骨折を認めた。処置中に血圧の低下と腹痛が増強したため,緊急造影CT検査を施行したところ,回腸レベルの壁肥厚像とその領域の腸間膜静脈から肝内門脈にかけてのガス血症を認めた。鈍的腹部外傷を契機とした回腸損傷と門脈ガス血症の診断で,受傷後7時間で緊急手術(小腸部分切除術)を施行した。開腹するとCT上の気腫性変化に一致する箇所に,色調不良な回腸を認めた。同部位を鈍的腹部外傷による門脈ガス血症の責任病変と判断し切除した。術後経過は良好で,術後第2病日に施行したCT検査では門脈ガスは消失していた。門脈ガス血症は腸管感染症が重篤化した際にしばしば認められ,その予後は不良であることが知られている。鈍的外傷を契機とした門脈ガス血症はまれであるので,文献的考察を加え報告する。

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参考文献 (10)*注記

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