完新世における三重県,雲出川デルタの発達過程

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タイトル別名
  • Holocene evolution of the Kumozu River delta, Mie Prefecture, central Japan

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抄録

三重県雲出川デルタ平野は伊勢湾に面する河川—波浪卓越型のデルタである.本研究では,ボーリングコアKM01, KM02より,雲出川デルタにおける沖積層の発達史を検討した.両コアの堆積相は,下位より最終氷期最盛期後の河成堆積物,エスチュアリー堆積物,プロデルタ堆積物,デルタフロント堆積物と現世の河成堆積物からなる.最大海氾濫面はエスチュアリー,デルタ性堆積物境界に位置し,その年代は約7 cal kyr BPである.<BR>また本研究と既往研究に基づき,完新世を通じた雲出川デルタの前進モデルが得られた.最終氷期最盛期に形成された開析谷は,9 cal kyr BPまで河成堆積物によって埋積され,9~7 cal kyr BPにはエスチュアリーの環境へと変化した.最大海氾濫面の発達した7 cal kyr BP頃には,現在の海岸線より約4 km内陸にあるKM02地点にまで海岸線が到達し,約2 km内陸のKM01地点ではデルタフロントを伴う雲出川デルタが形成された.雲出川デルタは6 cal kyr BP頃までには開析谷をほぼ埋積して伊勢湾に直接面するようになり,6~4 cal kyr BPと3~0 cal kyr BPにはおもに北東方向に,4~3 cal kyr BPには南東方向に舌状のデルタを前進させた.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 49 (4), 201-218, 2010

    日本第四紀学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (63)*注記

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