悪性中皮腫細胞と反応性中皮細胞の鑑別―パパニコロウ染色における細胞質の染色性とケラチン，ＨＢＭＥ‐１およびＥＭＡの発現との関連性―

• 磯崎 岳夫

  東芝病院病理科 昭和大学藤が丘病院病院病理科

• 北村 隆司

  昭和大学藤が丘病院病院病理科

• 岸本 浩次

  昭和大学藤が丘病院病院病理科

• 鮫島 千恵

  川崎協同病院病院病理科

• 根神 仁志

  川崎協同病院病院病理科

• 楯 玄秀

  昭和大学藤が丘病院病院病理科

• 光谷 俊幸

  昭和大学藤が丘病院病院病理科

• 太田 秀一

  昭和大学医学部第2病理学教室

書誌事項

タイトル別名

• Cytologic differentiation of malignant mesothelioma cells and reactive mesothelial cells in body cavity fluid, with special reference to the comparism between the cytoplasmic appearance in Papanicolaou stain and expression of cytokeratin, HBME-1 and EMA
• ―パパニコロウ染色における細胞質の染色性とケラチン, HBME-1およびEMAの発現との関連性―

抄録

目的 : 悪性中皮腫 (malignant mesothelioma, 以下MM) と反応性中皮細胞 (reactive mesothelial cells, 以下RM) の鑑別を目的としてMMの細胞質の多彩性に着目し, パパニコロウ染色 (以下Pap.) での細胞質の染色性とケラチン, HBME-1およびEMAの発現との関連性について検討した.<br>方法 : 対象はMM5例, RM24例である. 体腔液標本にcytokeratin : clone AE1+AE3 (以下CK) 抗体, HBME-1抗体, およびEMA抗体を用いて免疫染色を行い, その反応像とPap. 像との関連性について検討した.<br>成績 : MMでのCK陽性像は1) びまん型, 2) リング型, 3) 核周囲型に分類された. びまん型は5例すべてに認められ, リング型は5例中3例, 核周囲型は5例中2例に認められた. その陽性所見はおおむねPap. 像のライトグリーンの染色性に一致していた. MMに特徴的な細胞所見は, (1) 泡沫状やレース状の細胞質をもち, 細胞辺縁が空胞化を示すCKびまん型弱陽性細胞, (2) 中心部が淡染, もしくは小空胞で占められ, それを囲むように陽性所見を示すCKリング型細胞であった. HBME-1においてはMM, RMの両者に陽性所見を認めた. EMAは4例のMMで多数の細胞が陽性となり, 1例はほとんどの細胞が陰性であった. しかし, HBME-1, EMAともにPap. 像との関連性はみられなかった.<br>結論 : MMではPap. における細胞質の染色性が多彩であり, CKびまん型弱陽性やリング型を示す異型細胞がMMを疑う所見となる可能性が示唆された.

収録刊行物

• 日本臨床細胞学会雑誌

  日本臨床細胞学会雑誌 46 (2), 71-76, 2007

  公益社団法人　日本臨床細胞学会

キーワード

• Malignant mesothelioma
• Cytokeratin
• Cytoplasmic features
• Immunocytochemistry
• Cytology

詳細情報

• CRID: 1390001204696818944
• NII論文ID: 130004512936
• NII論文ID: 110006250718
• NII書誌ID: AN00198721
• DOI: 10.5795/jjscc.46.71
• ISSN: 18827233
• ISSN: 03871193
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2007236955
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可