Paclitaxel, trastuzumab併用術前化学療法後に間質性肺炎をきたした乳癌の1例

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  • Paclitaxel Interstitial Pneumonitis Inducing in Locally Advanced Breast Cancer

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抄録

症例は56歳,女性.左乳癌T4bN1M0,Stage IIIB(扁平上皮癌, ER陰性,PgR陰性,HER2:3+)の診断で,paclitaxel,trastuzumab併用術前化学療法を12コース施行しPRを得た.しかし,12コース投与後8日目に咳嗽,咽頭痛,38°Cの発熱が出現し,翌日には呼吸困難もみられたため緊急入院となった.SpO2 93%,両下肺野にfine crakleを聴取,胸部単純X線では両下肺野を中心にスリガラス状陰影を認めた.胸部CTでは両側肺野にスリガラス状陰影と一部に浸潤影も認め,KL-6は694U/mlと高値であった.以上の所見から間質性肺炎と診断,ステロイドパルス療法を施行した.開始当日より解熱とCRPの低下を認め,呼吸苦も著明に改善した.原因として薬剤性を疑い,paclitaxel,trastuzumabに対するリンパ球刺激試験を行ったが陰性であった.入院後23日目に乳房切除術,腋窩リンパ節郭清および分層植皮術を施行した.術後療法としてtrastuzumab を慎重に再投与した.間質性肺炎の再燃はなくpaclitaxelが原因薬剤と推察した.

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参考文献 (24)*注記

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