術前診断が困難であった膵周囲末梢神経由来の神経鞘腫の1例

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タイトル別名
  • A Case of Neurilemoma Arising from Peripheral Nerve Around Pancreas that was Difficult to Diagnose Preoperatively

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抄録

症例は42歳,女性.近医の腹部超音波検査にて,膵尾部から脾門部にかけて腫瘍を指摘されたため,当院を紹介受診.腹部CT検査にて膵尾部に径5cm大の境界明瞭,辺縁整の内部が均一なlow densityの囊胞性病変を認めた.ERP検査では腫瘍と主膵管に交通はなく,膵管の異常所見も認めなかった.EUS検査では膵尾部に径4.9×4.3cm大の肥厚した被膜を有する囊胞性病変を認めた.以上より粘液性囊胞腫瘍(mucinous cystic tumor;MCT)を含む膵腫瘍を疑い手術を施行した.膵尾部に約6cm大の弾性軟な腫瘍を認めたため膵体尾部切除兼脾摘除術を施行した.切除標本では膵尾部と脾臓の間に6.0×5.5×4.0cmの被膜を有する腫瘍を認めた.病理組織学的所見では,腫瘍はAntoni-A領域とAntoni-B領域より成り,中心部は大きく囊胞化し出血を伴っていた.免疫組織学的染色では,S-100蛋白(陽性),c-kit染色(陰性),CD(Cluster of differentiation)34染色(陰性),desmin染色(陰性),SMA(α-Smooth Muscle Actin)(陰性)であった.膵臓,脾臓との連続性は認められず,膵周囲の末梢神経から発生した神経鞘腫と診断された.

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参考文献 (35)*注記

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