乳癌との鑑別に苦慮した高齢者乳管腺腫の1例

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  • A CASE OF DUCTAL ADENOMA OF THE BREAST WITH DIFFICULTIES IN DIFFERENTIATION FROM BREAST CANCER

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抄録

症例は78歳, 女性. 左乳房のしこりと乳頭の陥凹を主訴に近医を受診し乳癌を疑われ当院を紹介された. 左乳房C領域に9×9mmの表面比較的平滑な硬い腫瘤を認めDimpling signはなかったが陥没乳頭を認めた. マンモグラフィでは微細鋸歯状変化を伴う腫瘤影と乳頭の牽引所見がありカテゴリー5と診断し充実腺管癌を疑った. 超音波でも分葉形, 内部はほぼ均一な低エコー腫瘤で境界部高エコー像を認め通常型乳癌を疑った. 穿刺吸引細胞診は小型核小体を有する異型乳管上皮細胞集塊がみられたが二相性は保持されており鑑別困難であった. 画像診断による推定組織型と細胞診所見が一致しないため針生検を勧めたが, 本人希望にて乳腺部分切除術を行い乳管腺腫と最終診断した. 本症は臨床的にも病理学的にも最も癌と間違えやすい病変の一つであり生検を行わなければ確定診断は難しい. 癌と誤診しないためには本症の概念を知っていることに尽きると考える.

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