術前診断が困難であった寄生虫が原因と考えられる肝好酸性肉芽腫症の1例

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タイトル別名
  • A case of a hepatic eosinophilic granuloma due to visceral larva migrans

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抄録

症例は51歳,男性.2009年8月,検診時に行った腹部超音波検査(以下US)で肝腫瘤を指摘された.既往にB型肝炎ウィルスキャリア.輸血歴なし.<BR>USではS2肝表に径10mmの境界不明瞭な低エコーの腫瘤を認め,造影CT早期相では周囲のみが造影され,後期相では等吸収であった.B型肝炎ウィルスキャリアであり,悪性の可能性否定できず,充分なInformed consentのもと全生検目的に腹腔鏡補助下肝外側区域切除術施行した.切除標本肉眼所見では,弾性硬,黄白色調の二こぶ状腫瘤を認め,病理組織学検査では,悪性細胞は認めず多数の好酸球の集簇を認めた.抗寄生虫抗体スクリーニング検査の結果,ブタ回虫に対する抗体が陽性で,内臓幼虫移行症による肝好酸性肉芽腫症と診断した.ブタ回虫による肝好酸性肉芽腫症は10mm前後の結節を形成し,CTで造影効果を認める症例もあり,肝悪性腫瘍との鑑別が難しい症例が存在する.

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