書誌事項
- タイトル別名
-
- Changes in distribution and structure of macroinvertebrate community before and after re-meandering experiment
抄録
2002年3月,日本で初めてとなる河川の再蛇行化実験が,北海道東部の標津川で行われた.実験評価の一環として,沖積低地河川における再蛇行化が河川底生動物群集の分布や組成に及ぼす影響を明らかにすることを研究目的とした.再蛇行化実験前後の底生動物群集の変化については,実験前の2002年7月と実験後の2003年7月に定性的な調査を行った.再蛇行化により,河跡湖に生息していた止水性の底生動物のほとんどが,流水性の底生動物に入れ代わった.また,実験前の直線流路と実験後の直線流路と再蛇行化流路で採集された底生動物のタクサ数に大きな違いは見られなかった.一方,復元後の評価を定量的に行うため『再蛇行化された流路では直線流路に比べて物理環境が多様になり,そこに生息する底生動物群集も多様になる』という仮説をたて検証を行った.自然蛇行流路が残る西別川に基準区を設け,標津川再蛇行化流路を実験区,直線流路を対照区として定量的な調査を2002年の6月と11月の2回行った.物理環境の多様度を示す水深の変動係数とタクサ数との間には正の相関が見られた.しかし,横断線上で確認されたタクサのほとんどが,水深が浅く,水流の緩やかな水際領域で見つかり,仮説は支持されなかった.水際領域で底生動物の生息密度やタクサ数が高かったのは,平常時における河床安定性が,高いためと考えられた.本研究から沖積低地河川では,水際領域が底生動物群集の生息場所として重要であることが示唆された.また,湾曲部に形成される寄州は,特に安定した水際領域を生じさせると考えられることから,沖積低地河川では,蛇行していることが,底生動物にとって重要であると推察された.底生動物群集は,再蛇行化後の6月には回復の傾向が見られたが,この回復は11月には,見られなくなった.その原因として再蛇行化流路の勾配が急で,河床変動の起きやすい状態であることが,原因の1つと考えられた.実験は開始されたばかりであり,今後も注意深くモニタリングを続けていく必要がある.
収録刊行物
-
- 応用生態工学
-
応用生態工学 7 (2), 173-186, 2005
応用生態工学会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282679450028032
-
- NII論文ID
- 130004541682
-
- ISSN
- 18825974
- 13443755
- http://id.crossref.org/issn/13443755
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可