膵胆管合流異常を伴う胆嚢小細胞癌の1例

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  • Small cell carcinoma of the gallbladder with anomalous arrangement of the pancreaticobiliary ducts

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抄録

要旨:胆嚢癌の組織型はほとんどが腺癌であり小細胞癌は極めて稀である.またその予後は不良であり報告例も少ない.今回われわれは膵胆管合流異常を伴う胆嚢小細胞癌の切除例を経験したので報告する.症例は80歳女性.2011年12月に心窩部痛を主訴に近医を受診した.腹部超音波検査で胆嚢の隆起性病変を指摘され,精査加療の目的で当院へ紹介された.画像診断でリンパ節転移を伴う胆嚢癌と診断され,2012年2月に肝床切除・胆管切除・胆道再建術を施行した.切除標本の病理診断は小細胞癌,結節浸潤型,3.5×3.5×1.0 cm,pT3(se),INFγ,ly3,v3,pn1,pHinf0,pHM0,pDM0,pN(+),P0,H0,M(-)であった.免疫組織化学検査により腫瘍細胞はSynaptophysin(+),Chromogranin A(-),CD56(+)であった.術後6カ月の現在再発は認めていない.胆嚢原発の小細胞癌は早期に肝転移,リンパ節転や腹膜播種をきたすため,切除率も低く予後不良である.極めて稀な疾患であるため手術や化学療法に関する明確なコンセンサスがない.肺小細胞癌に準じた化学療法の有用性などが示唆されているが,今後の症例の蓄積と更なる検討を要する.<br>

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 27 (2), 193-199, 2013

    一般社団法人 日本胆道学会

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