術前CT及び術中における前篩骨動脈の同定

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  • Localization of Anterior Ethmoid Artery in Preoperative CT and During Endoscopic Sinus Surgery

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抄録

一般に前篩骨動脈は, 前頭洞後端から第3基板までの篩骨蜂巣天蓋にあるとされるが, より詳細な走行部位は個人差が大きい。前篩骨動脈の損傷は, 出血量の増加だけでなく, 頭蓋内血腫や眼窩内血腫の原因ともなる。さらに, 眼窩内血腫が形成され眼窩内圧の上昇が起きた場合, 約1時間以内に除圧されない限り, 視力障害や失明に至る重大な合併症の原因となりえる。したがって, 危険部位を術前に把握しておくことは, 術中術後の合併症を回避しつつ, 副鼻腔の単洞化手術を施行するうえで重要である。<br>我々は日本人を対象として, 前篩骨動脈の走行部位とfrontal recess (前頭陥凹) との詳細な位置関係について検討を行った。術前に0.6mmスライスCTから多断面再構成像を作成し, 前篩骨動脈の走行を(1)前頭洞の直後を走行, (2)frontal bulla cellやsuprabullar cellの直後を走行, (3)篩骨胞の中から第3基板までを走行するものの3つに分類した。さらに頭蓋底からの距離について, (A)頭蓋底に接して走行, (B)頭蓋底から離れ, 頭蓋底との間に隔壁を認めるものの2つに分類した。結果, (2)の群が98側 (59.7%) で最も多く, (3)の群が35側 (21.4%), (1)の群が31側 (18.9%) であった。また, 頭蓋底からの距離については, (A)群が59.8%で, (B)群が40.2%であった。

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参考文献 (12)*注記

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