脳下垂体腫瘍に対する治療戦略のアップデート

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  • UPDATED TREATMENT STRATEGY FOR PITUITARY ADENOMAS

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抄録

下垂体腺腫の治療戦略のアップデートにつき概説する。下垂体腺腫はホルモン過剰産生による症状にて発症する機能性腺腫と, ホルモン過剰産生がなく主として腫瘍の圧迫症状により発症する非機能性腺腫とに大別される。機能性腺腫には先端巨大症, プロラクチン産生下垂体腺腫, クッシング病, 甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腺腫がある。先端巨大症の治療の第一選択は経蝶形骨洞手術であり, 適宜ドパミン作動薬やソマトスタチンアナログ等の薬物療法あるいは定位放射線治療を行う。プロラクチン産生下垂体腺腫はドパミン作動薬による薬物療法が主体であり, 治療効果も高い。クッシング病は手術による治癒切除が期待できるが, 治療効果が不十分な場合には定位放射線治療も有効である。クッシング病に対する有効な薬物治療はないため, 非治癒例に対しては副腎酵素阻害剤を使用し病態をコントロールする。甲状腺刺激ホルモン産生下垂体腫瘍は稀な腫瘍であり, 甲状腺刺激ホルモン不適切分泌を呈するのが特徴的である。非機能性腺腫は視機能障害を契機に診断されることが多いが, 頭部精査時等に診断される無症候性の下垂体偶発腫も稀ならずある。経蝶形骨洞手術において近年は内視鏡が広く使用されるようになり, 腫瘍摘出度の向上に寄与している。

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