術中画像更新をオプションとしたナビゲーション手術が有用であった蝶形骨洞大翼嚢胞の2例

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  • TWO CASES OF THE SPHENOID SINUS MUCOCELE REPAIRED WITH AN IMAGE-GUIDED ENDOSCOPIC ENDONASAL APPROACH

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抄録

今回我々は, 術中画像更新を含むナビゲーションシステムを併用した内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (Image-Guided Endoscopic Sinus Surgery: IGESS) で良好な経過を得られた蝶形骨洞大翼嚢胞の2例を経験したので, 文献的考察を含め報告する。<br>1例目は55歳男性で, 人間ドッグで撮影されたMRIに左蝶形骨洞内に腫瘤性病変を偶然指摘された。画像所見としては左蝶形骨洞外側壁から蝶形骨翼状突起陥凹部に広がる粘液嚢胞であり, IGESS下で嚢胞壁開窓術を施行した。嚢胞周囲は骨で囲まれており解剖学的位置の変化はなく, 開放は十分であったため術中CTは施行しなかった。<br>2例目は18歳女性で, 主訴は頭痛, 左眼痛, 嘔気であった。画像所見としては蝶形骨および斜台, 頭蓋底骨欠損を伴う左蝶形骨大翼の腫瘤性病変で悪性も否定できないものであった。IGESS下で嚢胞壁開窓を施行し, 内容物を吸引除去すると硬膜が下方へ移動し, 術前画像でのナビゲーションシステムでは解剖学的位置の不一致が生じたため, 術中CTを撮影しナビゲーションシステムの画像更新を行い, 周囲の動脈や神経を損傷することなく嚢胞を開窓した。2症例とも術後1年を経過しているが, 再発は認めていない。<br>周辺に重要な解剖学的構造物がある場合にナビゲーションシステムは有用であるが, 手術操作により解剖学的位置関係が変化することがあり, 術前のCT情報を用いたナビゲーションシステムでは対応が困難である。そのため, 術中CTが撮影可能な手術室での術中画像更新によりナビゲーションシステムの情報を更新し位置の補正を行うことは, 術中の解剖学的位置変化に対応でき, 有用であると考える。

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