同一牛舎内隔離飼育が黒毛和種育成牛の 牛白血病ウイルス伝播に及ぼす影響

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タイトル別名
  • The Effect of Segregation in a Cowshed on Horizontal Transmission of Bovine Leukemia Virus of Japanese Black Steers
  • ドウイツ ギュウシャ ナイ カクリ シイク ガ クロゲワシュ イクセイギュウ ノ ギュウ ハッケツビョウ ウイルス デンパ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

刺咬性飛来昆虫(以下,刺咬性昆虫)が出現しない冬季および出現する夏季で,同一牛舎内における隔離飼育が黒毛和種去勢牛の牛白血病ウイルス(BLV)の伝播に及ぼす影響を検討した.牧場内で生産され,出生から1 ヵ月毎の受身赤血球凝集反応法(以下,PHA 法)によるBLV 抗体検査において経時的なBLV 抗体陰性を示す育成牛(以下,供試牛)13 頭を,BLV 抗体陽性を示す牛と隣接する牛房(隣接区:冬季4 頭,夏季3 頭)および5 m 隔離した牛房(隔離区:冬季3 頭,夏季3 頭)で14 ~ 17 週間飼育し,PHA 法による経時的な抗体検査からBLV 感染を確認した.試験期間中,供試牛全頭に牛白血病臨床症状は認められず,順調な発育を示した.冬季試験の隣接区で感染が疑われる個体1 頭および陽性濃厚個体1 頭が認められたものの,隔離区にBLV 抗体価の上昇は認められなかった.一方,夏季試験の隣接区にBLV 抗体価の上昇は認められなかったが,隔離区で試験開始後8 週目までに感染が疑われる個体1 頭および陽性濃厚個体1 頭が認められた.以上の結果より,BLV の感染経路とされる垂直感染,人為的感染および刺咬性昆虫による水平感染以外にも伝播経路が存在する可能性が示唆され,同一牛舎内の5 m 隔離ではBLV 伝播を完全に防除することは難しい ことが明らかとなった.

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