義足足部特性が歩行時健側足関節底屈モーメントに及ぼす影響について

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抄録

【目的】義足足部特性の違いが歩行に影響を及ぼすことは周知のこととされている。義足歩行において、義足立脚相後半に駆動力として利用される反発特性は、足部間で相違があり、特に足部底屈モーメントが力の特性値として用いられている。つまり、強い反発特性を持つ義足足部で歩行する場合には、健側下肢の駆動力に対する依存が低くなると考えられる。そこで今回、義足足部反発特性が健側下肢の駆動力(足関節底屈モーメント)に与える影響について検討したので報告する。<BR>【方法】模擬義足に装着する対象足部は、従来型足部である単軸足、FJ足、サッチ足(以下、それぞれCV、FJ、SFと略す)とエネルギ蓄積型足部であるシュアフレックス(以下、SFF と略す)の4種とした。被験者は、模擬義足装着による健常者5例とした。計測方法は、健常者に模擬義足を装着して7m歩行路での自由歩行を5回実施した。使用機器は、Vicon370とキスラー社製床反力計4枚を使用し、計測マーカーの配付位置は、臨床歩行分析研究会の推奨する10点マーカーを採用し関節モーメントを算出した。計測された立脚相における底屈モーメントをPCにて算出し、模擬義足足部と健側足関節のそれぞれの底屈モーメントの比較を行った。統計処理ソフトには、SPSS Ver.13.0Jを用い、一元配置分散分析後、scheffeの多重比較検定を行い、有意水準はp <.05とした。<BR>【結果】各被験者5例の模擬義足歩行における底屈モーメントの比較結果、健側足関節の底屈モーメントには、どの足部間においても有意差は認められなかったが、模擬義足足部においては、5例中4例にFJ<SFFで有意差が認められ、また、5例中2例にCV<SFFで有意差が認められた。5例の被験者の中で比較的エネルギ蓄積型足部は、従来型足部より大きい底屈モーメントが得られる傾向が認められた。<BR>【考察・まとめ】模擬義足歩行時、立脚相後半に出現する義足足部底屈モーメントは、明らかにSFFがFJに比べ有意に大きくなる傾向を得た。これは、エネルギ蓄積型足部が踏切期に義足足部の反発材料特性の影響により足部の底屈モーメントを生み出したと予想される。今回の結果より、底屈モーメントの低い従来型足部のFJやCVにおいては健側の足関節モーメントが高くなる傾向があり、健側下肢での駆動力の代償があると考えられた。一方、エネルギ蓄積型足部の底屈モーメントの高いSFFにおいては、模擬義足側と健側の底屈モーメントにあまり差がない傾向があり、健側での代償性が低かった。このことは、歩行時模擬義足足部の底屈モーメントと健側下肢の足関節底屈モーメントとに関係性があることを示唆していると考えられた。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), E1034-E1034, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562927488
  • NII論文ID
    130004579565
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.e1034.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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