マイクロカレント刺激が損傷骨格筋の再生に及ぼす影響

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抄録

【目的】近年、スポーツ現場において筋損傷や筋疲労の回復を促すために「マイクロカレント療法Microcurrent electrical neuromuscular stimulation(以下、MENS)」が行われている.しかし、MENSが損傷骨格筋の再生過程や疲労した骨格筋細胞にどのような影響をもたらすかについての基礎的研究は行われておらず、その分子機構は不明である.MENSが損傷骨格筋の再生を促進する分子機構が明らかになれば、様々な疾患や怪我などで低下した骨格筋機能の回復にMENSが有効である科学的裏付けとなる.そこで本研究では、MENSが損傷骨格筋の再生過程に及ぼす影響について筋損傷モデルを用いて組織学的に評価・検討することを目的とした.<BR>【方法】実験対象には生後7週齢の雄性マウス(C57BL/6J)を用いた.マウスを対照(C)群、筋損傷(CX)群と筋損傷+MENS刺激(MX)群の3群に分類した.筋損傷モデルはCXおよびMX群のマウスの前脛骨筋(TA)にカルディオトキシン(cardiotoxin:CTX)を筋注して作成した.MX群のマウスのTAには、CTX筋注後にMENS(伊藤超短波社製トリオ300)を3週間行った.CTX筋注後、1、2および3週間後にTAを摘出し、連続凍結切片を作成した.凍結切片に対してHE染色を施し、筋線維断面積および中心核線維数の計測、ならびに病理学的評価を行った.また、抗Pax7抗体ならびに抗ラミニン抗体による免疫組織化学染色を施し、筋衛星細胞数の評価を行った.<BR>【結果】CTX筋注により、単核の貪食細胞などの浸潤が観察された後、中心核を有する再生筋線維が出現した.回復が進行するとともに筋線維断面積が増大し、中心核線維の割合は徐々に減少した.CTX筋注後の回復過程における筋線維断面積は、MENSにより増加する傾向を示した.また、MENSは中心核線維の割合の減少を促進した(p<0.05).また、MENSは筋衛星細胞数を有意に増加させた(p<0.05).<BR>【考察】MENSにより、筋衛星細胞が増加し、中心核線維の減少が促進した.したがって、MENSは筋衛星細胞を活性化し、筋損傷からの回復を促すことが示唆された.<BR>【まとめ】MENSは、骨格筋再生能を活性化させることで損傷骨格筋の回復を促すことが示唆された.今後、スポーツ現場はもちろん、リハビリテーションにおいてもMENSが物理療法の有効な一手段となる可能性が考えられた.<BR> 本研究の一部は、文部省科学研究費(若手B, 19700451; 基盤B, 20300218; 基盤A, 18200042)ならびに花王健康科学研究会助成金の助成を受けて実施された.

収録刊行物

  • 日本理学療法学術大会

    日本理学療法学術大会 2008(0), A3P2104-A3P2104, 2009

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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