足関節底背屈における筋疲労の特性について

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抄録

【目的】<BR>臨床では転倒による疾患を対象とすることが多く筋疲労との関係も報告されている.筋疲労の筋電図学的検討では大腿四頭筋などが多く報告されているが,転倒との関連がある足関節に関わる筋の報告は少ない.本研究目的は,経時的な足関節底背屈運動による疲労について筋電図学的に検討することである.<BR>【対象】<BR>対象は,研究内容の十分な説明を書面と口頭で受け,研究趣旨に同意の得られた整形外科的疾患,神経学的疾患の既往のない健常者10名(平均年齢22.0歳±1.6)を対象とした.<BR>【方法】<BR>被検筋は右の前脛骨筋(TA),腓腹筋外側頭(GL)とした.動作課題は足関節底背屈運動とし,筋電計のメトロノーム機能を用いることで5秒間の底背屈運動を最大努力で20回,測定肢位は端座位とし,背屈時は股関節屈曲70°,膝関節屈曲60°,足関節背屈-5°とし,底屈時は,股関節屈曲70°,膝関節完全伸展位,足関節底屈25°とした.<BR>最大筋力は,フォースセンサーを使用し,各筋の筋活動は表面筋電計NORAXON社製Telemyo2400T,解析ソフトMyoResearch XPを用い測定した.その後,各動作開始からの2秒間を排除した3秒間の平均振幅,周波数分布,底背屈最大筋力から,課題遂行による減衰率,周波数帯域の経時的変化を求めた.<BR>【結果】<BR>平均振幅:開始時を100%とすると,TAでは中間期で14%,最終期で18%の減衰を認め,GLでは,中間期で21%,最終期で22%の減衰を認めた.<BR>最大筋力:開始時を100%とすると,TAでは中間期で27%,最終期で40%の減衰を認め,GLでは,中間期で12%,最終期で18%の減衰を認めた.<BR>周波数:TAでは,高周波成分が経時的に減少するに伴い,低周波成分の経時的な増加を認めた.GLでは,全帯域で経時的に減少を認めた.<BR>【考察】<BR>Jonsonによると,ヒトの筋線維組成比率はTAでTypeI,IIが約7:3,GLでは約5:5と報告されている.今回,表面筋電図の結果ではTA,GLとも筋線維組成比率を反映していないと結果となった.しかし,絶対筋力,筋力減衰の結果,両筋のサイズ差を考えると,施行回数による疲労度の違いが影響していると考える.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2008 (0), A3P3022-A3P3022, 2009

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680543615232
  • NII論文ID
    130004580215
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p3022.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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