鏡視下腱板修復術後における理学療法の追跡調査
抄録
【目的】鏡視下腱板修復術(Arthroscopic Rotator Cuff Repair:ARCR)後の理学療法が術後成績に及ぼす影響を明らかにする目的で、術後成績と成績に影響を及ぼす因子について経時的に調査したので報告する.<BR><BR>【対象】2007年6月から2007年12月に、当院にてARCRを施行し、9ケ月以上経過観察が可能であった20例20肩を対象とした.内訳は、男性18肩、女性2肩で、手術時平均年齢は61.7歳(51~73歳)であった.対象には本研究の目的と内容を説明し、同意を得た後、測定を行った.<BR><BR>【方法】評価法としては、術前、術後3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月の、日整会肩関節疾患治療成績判定基準(JOAスコア)、American Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)shoulder index、 University of California at Los Angeles(UCLA) rating scaleを使用し、スコアの推移について検討した.統計学的検討にはFriedman順位検定およびBonferroni補正Wilcoxon検定を用い、危険率1%未満を有意差ありとした.<BR><BR>【結果】JOAスコアの推移は、術前より術後6ヶ月で57.25点から89点(中央値)と改善し、統計学的有意差を認めた.また、各項目別のスコアの推移は、疼痛スコアで術前から術後3ヶ月で有意に改善した.機能スコアは、術前から術後6ヶ月の各期間で有意に改善した.可動域スコアは、術後3から6ヶ月で有意に改善した.ASES shoulder indexの推移は、術前より術後6ヶ月で29点から82点と改善し、統計学的有意差を認めた.また、各項目別のスコアの推移は、疼痛スコアで術前から術後3ヶ月で有意に改善した.機能スコアは、術前から術後6ヶ月の各期間で有意に改善した.UCLA rating scaleの推移は、術前より術後6ヶ月で12点から27.5点と改善し、統計学的有意差を認めた.また、各項目別のスコアの推移は、疼痛、筋力、可動域の各スコアにおいて術前から術後3ヶ月で有意に改善した.機能スコアは、術前から術後6ヶ月の各期間で有意に改善した.<BR><BR>【考察】今回の結果より、術後理学療法の効果は術後6ヶ月までの術後成績に強く影響を及ぼしていることが示唆された.また、疼痛と筋力が術後3ヶ月まで、機能と可動域が術後6ヶ月まで有意な改善を示した.このことから、筋力改善にはARCRによる解剖学的連続性の再獲得により、腱板相互の筋収縮を可能にしたことが、機能と可動域改善には、肩甲骨固定化機能の改善が影響を及ぼしていると推察され、腱板機能と肩甲胸郭関節機能の神経筋協調性獲得を考慮した理学療法の実施が重要であると考えられる.
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2008 (0), C3P1387-C3P1387, 2009
公益社団法人 日本理学療法士協会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680542307712
-
- NII論文ID
- 130004580657
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可