成長に伴う足関節背屈可動域の変化としゃがみ込み動作との関係
抄録
【はじめに】我々は前回の本大会において、小学6年生を対象にしゃがみ込み(以下、SQ)動作が足関節背屈(以下、DF)柔軟性の簡易的な測定方法になりうるかを検討し、SQ動作ができた者はできなかった者に比べ有意にDF可動域が大きいことを報告した.今回、対象を2~6年生に広げ、成長に伴うDF可動域の変化を観察し、SQ動作との関連をみた.また、身長・体重や成長に伴うそれらの伸びがSQ動作に与える影響についても検討した.<BR>【対象と方法】K市内の小学2年生から小学6年生までの369名(男子192名、女子177名)を対象に、DF可動域測定と2種類のSQ動作判定を行った.DF可動域は、非荷重・膝関節伸展位でニュートラルなDFを他動的に測定し、左右差を認める場合、最小値を採用した.SQ動作は、下肢の不要な回旋を防止するように両膝関節内側部と足部内縁を接触させた状態で、上肢を自由にしてバランスをとることのできるSQ(以下、自由SQ)動作と、上肢を腰の後ろで結び上肢によるバランスがとれないSQ(以下、腰SQ)動作を1回ずつランダムに行わせた.その間、前方と側方からビデオで撮影し、測定終了後、ビデオ画像にて動作の可否を判定した.開始肢位を保持した状態で臀部と踵部が接触するまでしゃがみ込めた者を可群、それ以外の者を不可群とした.なお本研究はN大学の倫理審査委員会にて承認され、本人および保護者に研究趣旨と内容を説明し同意を得た上で行った.<BR>【結果と考察】DF可動域は、2年生が4~6年生より有意に大きかった.しかし、3~6年生の間には有意な差はみられなかった.SQ動作については、自由SQ・腰SQとも2年生に不可群の数が最も少なく、腰SQでは学年進行に伴って不可群が増加する傾向にあった.また各学年とも、腰SQの可群のDF可動域が不可群より有意に大きかった.これらより、DF可動域は3年生頃から低下し始めること、SQ動作は学年が進行するに従ってできなくなる子が増えること、そして腰SQ動作の可否はどの学年においてもDFの柔軟性を反映することが示された.次に、身長・体重とDF可動域との関係をみてみると、身長・体重ともに有意な負の相関がみられた.また、ここ1年間の身長・体重の伸びとSQ動作の可否との関係をみると、不可群の身長・体重の伸びが可群より有意に大きかった.成長期の相対的な柔軟性の低下には、身長の伸びが関係しているとされているが、今回の結果からは体重の増加量も影響している可能性が示唆された.今後、身体的な変化の程度と柔軟性の変化について検討を加えたい.
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2008 (0), C3P1473-C3P1473, 2009
公益社団法人 日本理学療法士協会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205568514560
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- NII論文ID
- 130004580735
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可