心肺蘇生後、重篤な合併症により長期のリハビリテーションを要した一症例
Bibliographic Information
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- ―心臓リハビリテーション部門と回復期リハビリテーション病棟の連携―
Abstract
【はじめに】当院では、平成20年度5月より心臓リハビリテーション(以下、心リハ)を開始し、同年6月に回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)が稼動した.今回、心室細動(以下、VF)による心肺停止からの蘇生後、感染症・下腿切断など重篤な合併症を伴ったが、心リハと回リハ病棟の連携により在宅復帰可能となったハイリスク症例を経験したので報告する.なお、患者本人と家族には本報告の説明を十分に行い、同意を得ている.<BR>【症例】74歳男性.慢性腎不全、糖尿病、急性心筋梗塞の既往歴がある.VFによる意識消失、心停止を起こしT病院に救急搬送されCPR・除細動が施行された(第1病日).挿管・IABP挿入されるも、長期挿入のため右第1趾虚血を来した.経過中再度VFを起こし除細動・PCI・ICD植込み施行される.しかし、リード感染(MRSA)を認めICDは抜去された.第147病日、本人・家族の希望にて当院循環器内科へ転院となり、同時に理学療法(以下、PT)を開始した.再度ICDの植込みを考慮されたが合併症によるリスクが高く、施行されずに退院し、外来PTを継続した.第318病日、右第1趾切断術施行されるも早期に創部離解、MRSA検出された.デブリードマン、洗浄を繰り返すが症状改善せず、第350病日、整形外科入院となり右下腿切断術施行された.心疾患のリスク高く、心リハ部門がリハビリテーションの担当となった.第366病日、回リハ病棟へ転棟した.同時に作業療法を導入するとともに断端訓練・義肢装着訓練を実施した.その後心室頻拍・VFを認めず、その他の合併症も増悪することなく、下腿義足にて屋内歩行自立を獲得し、第476病日、自宅退院となった.以後、外来にて心リハを継続した.<BR>【結果】開始時、歩行器歩行持続距離15mと運動耐容能は著しく低下しており、また四肢・体幹の筋萎縮が著明であった.開始時ADLはFIM80点であったが、退院時95点となり、義足歩行で屋内歩行自立、連続歩行距離が120mと改善した.また、退院時に評価したCPX(下腿義足装着下)ではAT:1.85METs、PeakV(dot)O 2:2.05METsであった.<BR>【考察】本報告のようなハイリスク症例が義足歩行を獲得できた要因は、心リハ部門・回リハ病棟の連携と供に、回リハ病棟入棟後も循環器内科・整形外科・代謝内科・腎臓内科・皮膚科などの診療科のサポートが十分に機能した結果と考えられる.心リハ部門では心大血管イベントに対する緊急対応体制が整っているだけでなく、理学療法士が配置されていることで義肢装着訓練など個別的かつ柔軟な対応が可能であった.<BR>【まとめ】急性期の診療科や新設部門・病棟の連携が巧く機能した結果、ハイリスクな症例が本人・家族の満足するADLにて在宅復帰を果たし、QOLの向上が得られた.
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2008 (0), D3P2518-D3P2518, 2009
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680543746688
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- NII Article ID
- 130004581117
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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