Vincristineによる口唇裂の発生過程に関する走査電顕的および光顕的観察

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  • Scanning Electron and Light Microscopic Studies on Cleft Lip Induced by Vincristine in Developing Rat Embryos

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抄録

口唇裂の発生機序解明を目的として,妊娠8日12時間のWistar系ラットにvincristine 0.2mg侭gを単一腹腔内投与し,胎齢10日18時間から14日12時間まで6時間ごとの胎仔中顔面の走査電顕的および光顕的観察を行い,正常胎仔と比較して次のごとき結果を得た.<BR>1)胎齢14日0時間から14日12時間にいたるvincristine投与群胎仔の69.5%に口唇裂が認められた(正中口唇裂25.4%,側方口唇裂44.1%).<BR>2)投与群において種々の顔面突起低形成が認められたが,これを前頭突起の著しい低形成ないし発育停止と,内外側鼻突起とくに外側鼻突起の低形成に2大別できた.<BR>3)投与群では顔面突起における被覆上皮の分化が遅延し,間葉細胞の数および密度が低下していた.<BR>4)内外側鼻突起下方部の癒合時にみられる上皮細胞表層における球状構造物,線維状構造物,細胞突起などの出現が投与群において少なく,同部の上皮細胞および間葉細胞における核濃縮像の出現も少なかった.<BR>5)投与群では内外側鼻突起下方部における接触部の狭小化,離開など種々の癒合不全が認められた.<BR>6)上記のごとき変化が口唇裂の発生に関与する.とくに正中口唇裂は前頭突起の低形成ないし発育停止,側方口唇裂は主として外側鼻突起の低形成に起因するものと思われた.

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