もやもや病の研究課題

  • 藤村 幹
    東北大学大学院医学系研究科神経病態制御学分野
  • 冨永 悌二
    東北大学大学院医学系研究科神経外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Issues in Moyamoya Disease : Consideration for Its Intrinsic Physiological Reorganization System

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抄録

 もやもや病は両側内頚動脈終末部と周囲の動脈が進行性に狭窄・閉塞し, 付近に異常血管網を認める原因不明の疾患である. 近年, 分子生物学・遺伝学の進歩により病態解明が飛躍的に進んでいる. 一方, 動的疾患としてのもやもや病の本態はいまだ不明である. 本疾患が提唱された原点に戻ると, 鈴木分類として知られる脳血管撮影上の経過は, いわば本疾患特有の代償機構による脳血管像の生理学的自然経過とも呼べるものであり, われわれはこの内頚動脈系から外頚動脈系への緩やかな変換を “internal carotid-external carotid (IC-EC) conversion” と呼んでいる. この代償機構に破綻が生じ脳虚血病態を呈した場合に血行再建術の適応となる一方, 代償機構が治療介入なく完遂される場合も少なからず認められる. 本疾患の本態を解明するにあたっては, もやもや病の生理学的代償機構としての “IC-EC conversion” の制御システムとその破綻の機序解明, という動的視点からのアプローチが必要であると考えられる.

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参考文献 (19)*注記

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