エピジェネティクス研究の毒性評価への展開

DOI
  • 五十嵐 勝秀
    国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 毒性部

書誌事項

タイトル別名
  • Progression of epigenetic research to the toxicity evaluation

抄録

変異を伴わない,ゲノムDNAやヒストンの後天的な修飾による転写制御機構であるエピジェネティック制御は,化学物質の影響をゲノムに刻み込む仕組みとしても注目を集めている。これまでに,2011年,2012年の関連する2回のシンポジウムにおいて,化学物質がエピジェネティクス制御に関わり生体影響を及ぼす現象を「エピジェネティック毒性」と定義し,今後の毒性研究における重要性を強調すると共に,基礎研究の進展と化学物質影響におけるエピジェネティック制御メカニズム研究を紹介してきた。3回目にあたる本シンポジウムではまず,骨,神経発達,代謝,がんなどの疾患や化学物質影響におけるエピゲノム変化の関与について,その分野をリードする専門家から事例を紹介して頂く。トピックとして,胎生期のバルプロ酸曝露による成体期の脳機能障害とその改善策,骨疾患の病態進行・増悪に関与する破骨細胞分化におけるエピジェネティック制御,肥満をはじめとするメタボリックシンドローム発症につながり得る代謝エピゲノム制御,肝炎ウィルスによる慢性肝炎において慢性炎症によるDNAメチル化異常が肝細胞がんの前がん状態を形成する可能性,など興味深い現象を取り上げる。それにより,エピジェネティック制御が様々な生命現象にいかに深く関わっているかを実感して頂きたい。それを受け,私の方からは現状及び将来のエピジェネティクス解析技術を整理して紹介し,エピジェネティクス研究をいかに毒性評価へ展開していくかについて議論する場としたい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680522925056
  • NII論文ID
    130004676554
  • DOI
    10.14869/toxpt.40.1.0.1015.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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