ES細胞の3次元培養法を用いたナノカーボンチューブの発生毒性

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  • Embryotoxicity of CNT by three-dimensional culture of ES cells

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抄録

ナノあるいはサブミクロン材料の開発と生産は年々増加している.また,近年ではPM2.5など環境面でも社会問題化している.しかし,これらの微粒子材料に特化した毒性試験法の開発は今後の課題とされている.とくにヒトの催奇形性に関連する発生毒性についてはほとんど未知の分野である.今回,すでに発生毒性リスクがほぼ明らかにされている代表的なナノ材料の1つであるナノカーボンチューブ(CNT)を用いて,3次元の細胞分化培養環境によるEmbryonic Stem Cell Test(EST)法の改良法を使用して心筋鼓動率を調べた.<br>[材料および方法]<br>1.ES-D3細胞の培養:DMEMにNAA,β-mercaptoethanol,および容積比20%FCSを添加したassay mediumを用いた.炭酸ガス恒温器内で3日間懸滴培養し,細胞がdish底面に伸展しないように直径6cmの無コーティングの細菌培養用dishで2日間静置培養しEmbryoid Body(EB)を作成した.<br>2.三次元培養 ブタ由来コラーゲン(タイプI-A,III,新田ゼラチン,大阪),10倍濃度のDMEM溶液とES細胞培養用添加剤の混合物1mgにCNT(多層,安達新産業,大阪)を1μg-100μg加え超音波洗浄器で拡散した.Reconstruction bufferと氷冷下で混合した後,12-well plate用Cell culture insert内に300μL入れ, 37℃炭酸ガス恒温器中で3週間連続培養した.<br>[結果および考察]CNT濃度が低下するにしたがって心筋の鼓動率が高くなった.いずれのCNT濃度群でもES-D3細胞の増殖が見られた.CNTに直接接触したEBから増殖したテラトーマ像の中で,CNTに接触した状態で心筋の鼓動が発現している像も多数認められた.以前の2次元培養法の報告からも強い細胞分化への影響は認められないことが判明した.しかし,今後CNTの純度による影響も検討する必要があると考えられる.

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