Crl: WI (Han)ラットの2年間モニタリングデータ

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  • Two years monitoring data of Crl: WI (Han) rat

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抄録

日本チャールス・リバー社より提供されたCrl:WI(Han)ラット雌雄各50匹を2年間飼育し,背景データを収集した。臨床観察において下顎切歯伸長による不正咬合が雄7例と雌20例に認められた。2年後の生存数は,雄が42/50例(84%),雌は40/50例(80%)でOECD TG451の要求(≧25%)を全うした。主たる死因は,雄では7例中3例が下垂体腫瘍,2例が重度の慢性腎症,雌は20例中6例が下垂体腫瘍であった。109週齢時の平均体重は雄595 g,雌388 g,1日平均摂餌量は雄21 g,雌17 gであった。病理組織学的検査の結果,腫瘍性病変としては下垂体前葉腺腫が雌雄ともに高頻度で認められた(雄19例,雌31例)。また,子宮内膜間質ポリープが雌9例,甲状腺C細胞腺腫が雄8例,雌3例,乳腺線維腺腫が雌6例,乳腺腺腫/腺癌が雌6例,腸間膜血管腫/血管肉腫が雄4例,膵臓島細胞腺腫が雄3例,雌1例,胸腺腫が雌雄ともに2例ずつ,肝臓肝細胞腺腫,中枢神経の顆粒細胞腫と神経膠細胞腫が雄のみにそれぞれ2例ずつに認められた。主な非腫瘍性病変では,心筋症が雄31例,雌13例,慢性腎症が雄37例,雌15例に認められ,雄の方が頻度・程度ともに顕著な傾向を示した。また,肺胞内泡沫細胞集簇が雄27例,雌14例,肝臓変異肝細胞巣(好酸性細胞)が雄35例,雌7例,同(好塩基性細胞)が雄13例,雌4例,同(明細胞)が雄13例,胆管過形成が雄9例,雌19例,腎臓腎盂炎が雄17例,雌2例,腎盂鉱質沈着が雄14例,雌39例,副腎皮質過形成が雄22例,雌10例,副腎皮質ペリオーシスが雌20例,眼球角膜鉱質沈着が雄21例,雌18例,網膜萎縮が雄3例,雌8例,乳腺過形成が雌18例,後肢踵部肉芽腫が雄4例に認められた。以上の結果より,本系統ラットは化学物質の2年間発がん性試験に適するものと考えられる。

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