タケ稈アルカリ性サルファイトパルプの酵素的加水分解残さに含まれるリグニンの精確な定量

  • 張 翼
    筑波大学 大学院生命環境科学研究科
  • 中川 明子
    筑波大学 大学院生命環境科学研究科
  • 大井 洋
    筑波大学 大学院生命環境科学研究科

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Other Title
  • タケカンアルカリセイ サルファイトパルプ ノ コウソテキ カスイブンカイザンサ ニ フクマレル リグニン ノ セイカク ナ テイリョウ

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Abstract

これまでに,タケ稈アルカリ性サルファイトパルプの酵素的加水分解における糖化率は,カラマツ材パルプとセルロースろ紙の糖化率よりも大きいことが示されている。パルプの残留リグニンと糖化の挙動を調べるためには,酵素的加水分解後のリグニン含有量を精確に定量することが重要である。これらのパルプ中の加水分解と残留リグニンの挙動を調べるために,酵素的加水分解後のリグニン含有量を精確に定量する方法について検討した。<BR>リグニン定量で広く使用されている方法の一つであるアセチルブロミド法は,タケ稈パルプ中のキシランが反応によって紫外吸収を増加させるために,リグニン定量の値に影響を与えること,また,水の含有量も紫外吸収に影響を与えることが示された。この方法をタケ稈パルプ中のリグニン含有量の定量に適用することは難しい。一方,熱分解ガスクロマトグラフィー・マススペクトロメトリーを用いて酵素加水分解後のパルプのリグニン含有量を精確に評価できることが示された。<BR>タケ稈アルカリ性サルファイトパルプとソーダパルプは酵素的加水分解において,セルロースろ紙よりもグルコース生成量が高く,残さ率は低いことが示された。酵素糖化残さ中のリグニン含有量を定量したところ,アルカリ性サルファイトパルプは酵素的加水分解が進むにつれてリグニン含有量が減少した。一方,ソーダパルプでは酵素的加水分解中のリグニン含有量は,ほぼ一定であった。また,酵素糖化の過程で溶出したリグニンはタケ稈パルプの酵素糖化率を高める効果を有することが示唆された。

Journal

  • JAPAN TAPPI JOURNAL

    JAPAN TAPPI JOURNAL 68 (6), 664-670, 2014

    JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY

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