表皮樹枝状細胞の微細構造―特にランゲルハンス細胞の機能および2~3白斑症の病因論に関する考察―

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抄録

Breathnachはマウスの胎児のNeural crestを切除すると,表皮メラノサイト(M細胞と略)と真皮神経要素を欠如するが,表皮には依然ランゲルハンス細胞(L細胞)が検出できるとして,L細胞のNeural crest由来を否定したが,著者は前報でM細胞とL細胞を比較,前者はNeural crest由来の細胞で,胞体内にメラノゾーム(Mel.)を有するに対し,後者は同細胞に,甚だ特徴的なBirbeck顆粒とd顆粒を有することを確認した.また貨幣状湿疹,慢性蕁麻疹においては,真皮にL細胞を認めたばかりでなく,同細胞が真皮から表皮へmigrateする像を観察した.両者は同じく表皮内に存在する樹枝状細胞であるが,根本的に異なる系列の細胞であることを指摘した.またWolff,Tornowski,Hashimoto,らは,細胞の原形質膜とB顆粒が接触している所見をみ,これをL細胞の貧喰所見と解し,同細胞はおそらく,組織球系の表皮内貪喰細胞であろうと推論しているが,著者は貨幣状湿疹の表皮に高電子密度顆粒(d顆粒)を有するL細胞を観察し,L細胞にはB顆粒とd顆粒の2型の分泌顆粒を有することを指摘,これらの顆粒はその形成過程や細胞内分布所見から,貪喰作用によるL細胞内顆粒ではなく,一種の分泌顆粒であろうと推論した.さらにまた最近Basettは胸腺や脾臓にL細胞と類似の細胞を証明し,佐藤も琳巴節にL細胞を証明しているが,著者は家兎胎児胸腺,幼若マウス胸腺および脾臓にL細胞を検出,また紅皮症患者の真皮内にL細胞の集団像を認めた.以上の事実を総合すると,L細胞はもはや間違いなく,間葉系起源の細胞と考えられ,おそらく胸腺細胞,一歩譲つてもそれに近縁の細胞と考えられるので,本報では,これ迄著者が検索した色素異常症の電顕像について詳細に述べ,限局性白皮症,Albinoidism,老人性白斑,Sutton白斑,Sutton現象,尋常性白斑,ならびに薬物による白斑黒皮症,胸腺,脾臓などを中心にL細胞の起源と機能を再検討し,併せて上記各疾患の病因論について検索し,些か知見を得たので,ここで報告し,大方の御批判を仰ぐ次第である.

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  • CRID
    1390001205739472256
  • NII論文ID
    130004686412
  • DOI
    10.14924/dermatol.80.69
  • ISSN
    13468146
    0021499X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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