胸腔鏡が有用であった食道癌術後乳び胸の1例

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  • A Case of Post-Esophagectomy Chylothorax, which Transudation Point was Successfully Identified by Thoracoscope

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抄録

症例は60歳代の男性で,つかえ感を主訴に受診した.食道癌 Mt type2 T3N1M0 Stage Ⅲの診断で術前化学療法後,右開胸開腹食道亜全摘胸骨後胃管再建,3領域郭清を施行した.術中胸管を合併切除し,その際,胸管を3重にクリッピングした.第6病日に胸腔ドレーンを抜去,同日経口摂取開始となったがその後,画像上右胸水貯留を認め第9病日に胸腔ドレナージを施行.胸水中のトリグリセライドが191mg/dlと高値であり術後乳び胸と診断.中心静脈栄養管理,オクトレオチド皮下注射による加療を行うも1日約850~1,500mlの排液が認められ,保存的治療での改善は困難と判断し,17病日に手術を施行.開胸後,胸腔内を観察したが肉眼的に乳び漏出部位の同定は困難であった.そこでのハイビジョン胸腔鏡を用いて検索したところ,初回手術時に胸管を3重にクリップしたクリップの肛門側に漏出部位を確認できた.同部位を再度クリップし手術終了.第16病日に退院となった.今回,開胸操作時においてもハイビジョン胸腔鏡が乳び胸手術に対し非常に有用であった1例を経験したので報告する.

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