口腔粘膜正角化型異形成 (orthokeratotic dysplasia) の 2 例

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  • Two cases of orthokeratotic dysplasia

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抄録

背景 : 口腔粘膜に発生する正角化型異形成 (orthokeratotic dysplasia : OKD) は, 口腔上皮性異形成の一亜型で, 前癌病変と考えられている. 組織学的には, 正過角化と顆粒細胞層の肥厚を特徴とし, 免疫染色にて cytokeratin (CK) 10 が陽性を示す. 今回われわれは, 擦過細胞診にて推定しえた OKD の 2 例を経験したので報告する.<br>症例 : 症例 1 : 52 歳, 男性. 口蓋の白斑に対し擦過細胞診が行われ, 細胞の 7 割が無核の角化細胞であり, CK10 が陽性となった. 組織学的には, 正過角化と顆粒細胞層の肥厚を認め, CK10 (+)/CK13 (−)/CK17 (−) であったことから, OKD と診断した. 症例 2 : 65 歳, 男性. 上顎歯肉の 2 つの隆起性白斑の擦過細胞診にて, 無核の角化細胞が 8 割を占め, CK10 が陽性となった. 組織学的に 2 つの病変はいずれも OKD であった.<br>結論 : OKD は新しい概念であり, 細胞診従事者の認知度も低いが, 口腔扁平上皮癌との密接な関係が示唆されており, 口腔細胞診において無核の角化細胞を多数認めた際には, OKD の可能性を考慮し CK10, CK13 免疫染色による詳細な検討を行う必要がある.

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