透析中の運動療法に及ぼすレボカルニチン塩化物投与の効果

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タイトル別名
  • L-carnitine improved exercise capacity in hemodialysis patients during exercise training with a bicycle ergometer
  • トウセキ チュウ ノ ウンドウ リョウホウ ニ オヨボス レボカルニチン エンカブツ トウヨ ノ コウカ

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抄録

透析療法の長期化に伴い透析患者の高齢化, 運動耐容能の低下が大きな問題となっている. 運動耐容能の低下は予後に影響することも知られるようになってきたが, なにより日常生活能力の低下に密接に結びついている. この点を改善するため, 透析患者への運動療法の取り組みが積極的に行われるようになってきた. われわれも心肺運動負荷試験を用いて, 最高酸素摂取量や嫌気性代謝閾値を測定し, 有酸素運動レベルの自転車エルゴメーターを主運動として運動療法を継続してきた. しかし約6か月間の運動療法では劇的に運動耐容能が改善する症例もみられたが効果は限定的で必ずしも改善しない症例も混在していた. この原因のひとつの可能性として, 透析患者におけるカルニチン欠乏状態が関与している可能性を考えた. カルニチンは骨格筋における脂肪代謝に重要な役割を果たしているため, 補充療法が筋肉症状を改善することは以前から報告されているからである. レボカルニチン塩化物投与, 非投与群での運動療法の効果の差異について比較検討を行った. レボカルニチン塩化物投与開始前には全例で血中遊離カルニチン濃度の著明な低下がみられた. 経口投与で遊離カルニチン濃度の上昇がみられた全例で運動療法後最高酸素摂取量, 嫌気性代謝閾値の改善が認められた. レボカルニチン塩化物非投与群では運動療法の効果はやはり限定的であった. 同時に追跡した心エコー上の心機能指標では遊離カルニチン濃度上昇群でも有意の改善はみられなかった. 透析患者への運動療法にカルニチン補充療法を併用することで末梢骨格筋での酸素利用能を向上させ運動耐容能改善に寄与できる可能性が考えられた.

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