経皮的心肺補助法(PCPS)合併症を含めた,全身管理に苦慮した劇症型心筋炎の1例

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  • Successful treatment with percutaneous cardiopulmonary support system(PCPS) in a fulminant myocarditis patient suffered from PCPS complication

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抄録

症例は46歳,男性.数日前より感冒様症状を認めたが,2010年2月呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.X線写真で心拡大と両側胸水を認め,心臓超音波検査(ultrasonic echocardiography;UCG)で心機能低下を認めた.当院到着直後に無脈性電気活動(pulseless electrical activity;PEA)となり,心肺蘇生を行いながら,大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping;IABP)を挿入した.冠動脈造影で有意狭窄はなく,左室造影で著明な壁運動低下を認めた.劇症型心筋炎として,経皮的心肺補助法(percutaneous cardiopulmonary support;PCPS)による補助循環を開始し,免疫グロブリン大量投与も行った.肺うっ血の改善を認め,心係数(cardiac index;CI)も改善傾向を示したが,UCGで壁運動低下は遷延していた.3病日以降低心機能に加えPCPSとIABP挿入部からの出血による血圧低下を認めたが,輸血と止血縫合により血行動態は改善した.11病日にPCPSから離脱した.しかし,PCPS抜去後に好酸球増多と急激な腎機能の増悪を認め,コレステロール塞栓症を疑った.ステロイド投与により腎機能は徐々に改善し,心機能も改善した.劇症型心筋炎の治療に成功したが,PCPS,IABP刺入部からの出血とPCPS抜去後にコレステロール塞栓症を合併したと考えられる1例を経験したので報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 45 (8), 1016-1023, 2013

    公益財団法人 日本心臓財団

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