A case of pacing failure due to pilsicainide toxicityin which pacing thresholds between right atrium and right ventricle were much different

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  • 心房と心室のペーシング閾値に大きな差を認めた,ピルジカイニドによる急性中毒が主因と思われる ペーシング不全の1例

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症例は92歳の女性.86歳時に他院にて洞不全症候群および発作性心房細動の診断でAAIペースメーカーの植え込みがなされ,植え込み後も発作性心房細動に対して抗不整脈薬(ピルジカイニド75mg/日,ベラパミル120mg/日,メチルジゴキシン0.05mg/日)の投与が継続されていた.ペースメーカー植え込み後,毎年施行されていたペースメーカーチェックでは,心房のペーシング閾値は0.5V(パルス幅0.4msec)で,ペースメーカーの出力は2.5Vに設定されていた.以後,施設に入所中であったが,意識低下,低酸素血症,徐脈,ショック状態にて当院救急外来へ緊急搬送された.搬送時の心電図では心房のペーシング不全と高度の徐脈を認めた.まず,ペースメーカーの出力を10V(パルス幅1.0msec)にしたが心房は捕捉されなかった.次に体外式ペースメーカーを挿入し,右房の数か所で10V(パルス幅0.75msec)の出力でペーシングを試みたが,やはり心房は捕捉されなかった.引き続き右室でのペーシングを行ったところ,心室は容易に捕捉可能であり心室のペーシング閾値は1.0V(パルス幅0.75msec)であった.その後ピルジカイニドの血中濃度が2.3μg/mLと中毒域にあったことが判明した.抗不整脈薬の中止とともにペーシング不全は改善,全身状態も改善し救命可能となった.本例では血中ピルジカイニド濃度の上昇がペーシング不全の主因であった可能性が高いが,心房と心室のペーシング閾値に大きな差を認めた.日常臨床の場では,ペースメーカー植え込み後に抗不整脈薬を継続投与することも多く,ペースメーカー機種の選択も含めて一考を要する症例と考えられたため,ここに報告した.

Journal

  • Shinzo

    Shinzo 45 (9), 1145-1152, 2013

    Japan Heart Foundation

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