専門スタディーフォーラム 樹状細胞・マクロファージ3  iPS 細胞を基盤とする樹状細胞大量生産技術

  • 千住 覚
    熊本大学 大学院生命科学研究部 免疫識別学分野
  • 春田 美和
    熊本大学 大学院生命科学研究部 免疫識別学分野
  • 池田 徳典
    熊本大学 大学院生命科学研究部 免疫識別学分野
  • 西村 泰治
    熊本大学 大学院生命科学研究部 免疫識別学分野

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抄録

我々は,ヒトのiPS細胞から樹状細胞を作成する分化誘導法を開発している.iPS細胞由来の樹状細胞(iPS-DC)は,抗原提示能力やT細胞活性化能力等の樹状細胞としての機能を有している.しかしながら,ヒトのiPS細胞から樹状細胞を作成する場合,分化に長期間(40日前後)を要し,得られる樹状細胞数は,用いたiPS細胞の10~20倍程度でしかない.iPS-DCを癌に対する免疫療法において実用化するためには,これらの問題を解決する必要がある.まず,iPS-DC作成効率を改善するために,iPS細胞から増殖性ミエロイド細胞ライン(iPS-ML)を作成する方法を開発した.iPS-MLは,M-CSF + GM-CSF + IL-4の存在化で樹状細胞(iPS-ML-DC)へ分化する.iPS-MLを経由することにより,ヒトiPS細胞から樹状細胞を作成する効率が飛躍的に改善した.また,iPS-MLは,生理的なミエロイド系血液細胞と同様にがん組織に対する指向性を有している.そこで,iPS-MLにインターフェロンβを発現させ,これを用いてがんを治療する研究も行っている.scidマウスを用いた胃がんの腹膜播種あるいは肝転移のゼノグラフトモデルにおいて,顕著な治療効果を観察しており,数年以内に臨床試験を開始したいと考えている.

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