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抄録
【目的】SLE患者末梢血ではメモリーB細胞の増加を認めるが,その質的異常は不明である.今回,ケモカイン受容体発現によるB細胞の亜分類を試み,その的意義を検討した.【方法】健常人(HD)8例,RA 31例,SLE 56例の末梢血より単核球を分離,B細胞分化マーカー(IgD, CD27),ケモカイン受容体(CXCR3, CXCR5, CCR6)を染色後,8 color FACSを用いてリンパ球サブセット解析を行い,臨床病態との関連性を解析した.【結果】1)SLE患者CD19+CD20+B細胞ではHD,RAと比べCXCR5−B細胞が有意に増加し,特にIgD−CD27−/+メモリーB細胞で顕著であった(p<0.01).2)同集団は疾患活動性と相関せず活性化Tfh細胞と正相関を認めた(p<0.05).3)CXCR5−CXCR3−B細胞は抗Sm抗体価と,CXCR5−CXCR3+メモリーB細胞はエフェクターメモリーT細胞と正相関を認めた(p<0.05).4)免疫抑制療法により疾患活動性改善後もCXCR5−メモリーB細胞は残存した(p<0.05).【考察】SLEではCXCR5減弱とCXCR3増強を伴う病的なB細胞を認め,Tfh細胞との相互作用を介した自己抗体産生および病態組織に再循環するメモリーB細胞のエフェクター機能の獲得による病態形成が示唆された.さらに免疫抑制療法により疾患活動性改善後も末梢血に残存することから,既存治療では根治困難なSLEの病因に関与している可能性が示唆された.
収録刊行物
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- 日本臨床免疫学会会誌
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日本臨床免疫学会会誌 37 (4), 331a-331a, 2014
日本臨床免疫学会