補聴器外来受診高年齢者における語音聴力検査結果の検討

DOI Web Site PubMed 参考文献4件 オープンアクセス
  • 安江 穂
    国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科
  • 杉浦 彩子
    国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科
  • 内田 育恵
    国立長寿医療研究センター耳鼻咽喉科 愛知医科大学耳鼻咽喉科
  • 中島 務
    名古屋大学大学院医学系研究科頭頸部・感覚器外科学講座耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Decline of Speech Understanding in the Hearing Impaired Elderly Listeners Who Visited Our Hearing Aid Clinic
  • ホチョウキ ガイライ ジュシン コウネンレイシャ ニ オケル ゴオン チョウリョク ケンサ ケッカ ノ ケントウ

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抄録

【目的】 聴覚コミュニケーション障害に対する対策を求めて当院補聴器外来を受診した高年齢者について, 年齢毎の聴覚推移の特徴と語音弁別能低値に寄与する要因を明らかにする目的で検討した.<br> 【方法】 対象は60~98歳の525名1,050耳である.<br> 解析1: 10歳毎の年齢群別・性別語音弁別能平均値を求めた.<br> 解析2: 同じく語音弁別能60%未満,40%以下の割合を求めた.<br> 解析3: 語音弁別能60%未満となる危険因子を2種のモデルを設定して多重ロジスティック回帰分析で検討した.<br> 解析4: 年齢群別・性別で Rollover Index (RI) 平均値を求めた.<br> 【結果】 語音弁別能は特に80歳代以上の年齢群において急激な低下を認めた (60歳代; 80.8%, 70歳代; 75.3%, 80歳代; 60.7%, 90歳代; 45.5%). 語音弁別能60%未満, 40%以下の割合も80歳代以上で急増した. 語音弁別能60%未満となる危険因子は, 目的変数を語音弁別能60%未満, 説明変数を性, 年齢 (10歳 毎), 4周波数平均聴力レベル (10dB 毎) としたモデル1において, 年齢のオッズ比は3.03 (95%信頼区間2.38-3.85; p<.0001), 4周波数平均聴力レベルのオッズ比は2.33 (2.03-2.68; p<.0001) と有意であり, 性別は有意ではなかった. 同じく, 目的変数を語音弁別能60%未満, 説明変数を各周波数聴力レベル (10dB 毎), 調整変数を性・年齢 (10歳 毎) としたモデル2では250Hz, 2,000Hz, 4,000Hz での聴力レベルが有意に影響していた. RI は年齢群が高いほど上昇傾向を示した.<br> 【結論】 高年齢者, 特に80歳以上においては語音弁別能低下が著しく, RI は上昇した. 語音聴力検査は, 補聴器導入時のガイダンスに有益な情報をもたらすと考えられた.

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