吸引肺動脈血の細胞診で診断し得たpulmonary tumor thrombotic microangiopathyの1 例
書誌事項
- タイトル別名
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- A case of pulmonary tumor thrombotic microangiopathy diagnosed by cytological examination of aspirated pulmonary artery blood
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抄録
症例は, 61歳, 女性. 2, 3 週前から労作時呼吸困難を自覚し始め, 徐々に安静時呼吸困難も出現したため近医を受診した. 低酸素血症が認められたため, 呼吸不全の精査加療を目的として, 同日, 当院へ入院した. 高度の肺高血圧症が認められたため, 急性肺血栓塞栓症を疑い, 造影CT検査および肺血流シンチグラフィ検査を行ったが, 肺血栓塞栓症を示唆する所見は認められなかった. 肺高血圧症に対する治療薬の処方を順次追加したが, 呼吸状態は徐々に悪化し血行動態は不安定となった. そのため, 第8 病日にスワン・ガンツカテーテルを挿入して強心薬の投与を開始した. 乳癌の既往があることから, pulmonary tumor thrombotic microangiopathy (PTTM) を疑い, 肺動脈に楔入させたスワン・ガンツカテーテル先端から吸引した肺動脈血の細胞診を施行した. その結果, 腺癌が検出されPTTMと確定診断したが, 同日死亡した. 急速に出現した肺高血圧症を伴う呼吸不全の原因疾患には, 肺血栓塞栓症のほかPTTMがある. PTTMは生前診断が難しい疾患とされるが, 吸引肺動脈血の細胞診が有用である.
収録刊行物
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- 心臓
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心臓 45 (10), 1254-1259, 2013
公益財団法人 日本心臓財団
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282679025533696
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- NII論文ID
- 130004701820
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- ISSN
- 21863016
- 05864488
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可