組織学的に形質細胞と好酸球浸潤を伴った皮疹を合併したIgG4関連疾患の2例

  • 池澤 優子
    横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科 茅ヶ崎市立病院皮膚科
  • 蒲原 毅
    横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科
  • 松倉 節子
    横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科
  • 相原 道子
    横浜市立大学医学部皮膚科
  • 池澤 善郎
    横浜市立大学医学部皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of IgG4-related Disease Accompanied by Pruritic Eruptions with an Infiltration of Plasmacytes and Eosinophils into the Dermis
  • ソシキガクテキ ニ ケイシツ サイボウ ト コウサンキュウ シンジュン オ トモナッタ ヒシン オ ガッペイ シタ IgG4 カンレン シッカン ノ 2レイ

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抄録

症例1:68歳,男性.10年前より四肢に瘙痒を伴う皮疹が出現し,消退・再燃を繰り返していた.経過中,頸部・腋窩リンパ節の腫大,耳下腺・顎下腺の腫脹,胸部CTで縦隔,肺門部のリンパ節腫大,腎機能低下と蛋白尿がみられた.腎生検病理組織像でIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた.これら時間的,空間的な臓器症状の多発に加え血清IgG4高値があり,IgG4関連疾患と診断した.顔面,体幹,四肢には強い瘙痒を伴う滲出性紅斑が多発していた.皮膚生検病理組織像では真皮に好酸球とIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めた.症例2:74歳,男性.健診で肝・胆道系酵素の異常を指摘され,胸腹部CTで硬化性胆管炎,肺線維症,後腹膜線維症の所見がみられた.十二指腸憩室部の粘膜生検病理組織像で間質に好酸球,形質細胞の浸潤を認め,無症候性胆管炎と診断された.同時期より四肢を主体に強い瘙痒を伴う紅色丘疹が出現した.皮膚生検病理組織像で真皮に好酸球と形質細胞の浸潤がみられた.いずれも浸潤する形質細胞のIgG4は陰性であったが,血清IgG4高値がありCTで本疾患に特徴的とされる複数の臓器に線維化を伴う腫瘤病変の存在が示唆され,IgG4関連疾患と診断した.IgG4関連疾患は,IgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を伴う腫瘤性病変が様々な臓器に認められるのが特徴であり,好酸球浸潤を伴うこともあるとされる.自験例の組織学的に好酸球や形質細胞の浸潤を伴った皮疹は,本疾患に関連する症状と考えられた.

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