人工股関節全置換術後腓骨(坐骨)神経麻痺合併症例の検討

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抄録

【要約】初回人工股関節全置換術(THA)を行った6123股を対象とし,術後腓骨神経麻痺合併症例に関して,現疾患,治療経過を検討した.6123股中14股に腓骨神経麻痺を合併しており,現疾患は,亜脱臼性股関節症6股,高位脱臼性股関節症3股,一次性股関節症1股,大腿骨頭壊死症2股,外傷性股関節症1股,骨腫瘍術後1股であった.高位脱臼性股関節症の3股が大腿骨短縮骨切りを併用しておらず,過牽引による発生が疑われた.最終調査時8股に回復を認めた.回復までは1か月から3年を要していた.当科のTHA術後腓骨神経麻痺の発生率は0.23%であった.明らかな発生要因が不明な症例が大多数であったが,当科では手術時,後側方アプローチを用いており手術時の坐骨神経圧迫,術後脊椎麻酔回復前の腓骨頭部圧迫などが一因と考えられた.一度,腓骨神経麻痺が発生すると,回復までに長期間を要し,下垂足,異常知覚のため下肢機能回復が遅延する.

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