都市緑地における鉛直方向の土壌硬度分布と過去の土地利用,造成手法および現在の整備形態との関係―皇居外苑北の丸地区を事例として―

書誌事項

タイトル別名
  • Relation between vertical soil compaction and land use history in urban green space: A case study of Kitanomaru Garden, Kokyo Gaien National Garden

抄録

本研究では,東京都千代田区にある皇居外苑北の丸地区を対象として公園化以前の土地利用,造成手法,現在の整備形態による人為的負荷と土壌の物理特性の対応関係を明らかにした。長谷川式土壌貫入計を用いて134 地点で鉛直方向の土壌硬度分布の測定を行い,GIS ソフトによる空間解析を行った。全地点のうち到達深度50 cm 未満の不貫入地が34 地点(25.3%),緻密層が出現する地点は90 地点(67.1%)であった。不貫入層の有無は,建物の圧密や踏圧などの人為的負荷の強度によって異なることが示唆された。緻密層の出現深度は,樹林・植栽地であっても0―25 cm に分類される割合が最も高かった。積算層厚は,25―50 cm が最も高かった。特に,切土造成,芝地では積算層厚が50 cm 以上になった。出現回数は1―2 回に分類される割合が最も高かった。北の丸地区の土壌は,0―25 cm から緻密層を形成し,層内で1―2 回出現する。そして,その緻密層の積算層厚は25―50 cm となり,層全体の25%から50% を占めることが分かった。以上のことから,現在の整備形態による硬化に加えて,過去の土地利用,造成手法が土層全体を硬化させ,不貫入層や緻密層を形成していると考えられた。また,都市の土壌では,現在の地形や植生景観からは推測困難な特徴層位が形成されていることが示された。土壌硬度の鉛直分布調査は複雑な土地利用履歴と利用形態をもつ都市部の土壌生成を理解するための有効な手法であるといえる。

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参考文献 (1)*注記

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詳細情報

  • CRID
    1390282680061723776
  • NII論文ID
    130004704909
  • DOI
    10.7211/jjsrt.39.412
  • ISSN
    18843670
    09167439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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