高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘を用いた観血的治療の成績

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抄録

骨粗鬆症を伴った高齢者において,上腕骨近位端骨折は頻度の高い骨折であるが,認知症や内科的合併症により保存的治療が困難なことがある.今回,65歳以上の上腕骨近位端骨折13例(男性3例,女性10例)を対象に,髄内釘を用いた手術を行い,術後獲得可動域,JOAスコア,合併症について調査した.術後平均可動域は屈曲95.4 ± 14.4°,外転81.7 ± 22.5,外旋33.3 ± 21.6°であった.平均JOAスコアは疼痛22.3 ± 7.2,機能12.9 ± 3.1,可動域17.6 ± 3.4,X線所見3.6 ± 0.9,安定性13 ± 2.6で合計70.0 ± 12.5点であった.術後合併症としては,骨頭の内反変形を2例,偽関節を2例認めた.髄内釘固定による術後の可動域,機能の成績は不十分であったが,骨癒合を得られれば疼痛スコアは概ね良好であった.手術を受けられる全身状態で,保存的治療を行うことが困難な症例に本法は有用と考えられた.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 38 (3), 852-854, 2014

    日本肩関節学会

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