手術的治療を行った野球選手のいわゆる胸郭出口症候群の臨床的特徴と治療成績

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抄録

投球障害としての胸郭出口症候群(以下TOS)の認知度は高くはない.今回,当院でTOSに対して手術を行った野球選手について来院時の主訴,理学所見,検査所見,治療成績について報告する.<BR>1998年から2012年までの間,TOSの診断で手術を行い,経過観察可能であった105例を対象とした.TOSの診断は,問診,上肢感覚障害,上肢内側のTinel様徴候,Wright test,Roos test,3D CT血管造影等で行った.手術は第一肋骨切除術を行った.<BR>105例中98例が野球復帰可能であった.復帰不能例では再発による症状や他の部位での障害を有していた.気胸を1例に認めた.<BR>TOSは頸椎疾患や肩,肘関節構成体の損傷などと診断され,見逃されている症例も多い.保存療法が第一選択であるが,我々の経験した手術症例の多くは他施設での保存療法を受けていた難治性の患者であった.手術成績は良好で,症状は速やかに改善することも多い.投球障害による治療では,TOSも常に念頭におくべきである.

収録刊行物

  • 肩関節

    肩関節 38 (3), 981-985, 2014

    日本肩関節学会

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