先天性色素性母斑における母斑性色素細胞の真皮内分布パターンの検討

  • 吉田 益喜
    近畿大学医学部附属病院皮膚科学教室
  • 手塚 正
    近畿大学医学部附属病院皮膚科学教室 中津皮膚科クリニック
  • 川田 暁
    近畿大学医学部附属病院皮膚科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Dermal Pattern of Congenital Nevomelanocytic Nevi
  • センテンセイ シキソセイ ボハン ニ オケル ボハンセイ シキソ サイボウ ノ シンピナイ ブンプ パターン ノ ケントウ

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抄録

先天性色素性母斑を母斑性色素細胞,特に担メラニン母斑細胞の真皮内分布パターン(浸潤範囲と浸潤様式)と母斑の大きさとの相関性,および部位と年齢別の変化について検討した.材料;1990年より2003年までに近畿大学医学部皮膚科を受診した先天性色素性母斑287例の切除又は生検標本を用いた.検討方法;パラフィン切片をHE 染色,S-100 タンパク染色,およびマッソン・フォンタナ染色を行い検討した.結果;先天性色素性母斑は母斑性色素細胞の浸潤範囲によって 3型に,浸潤様式によって 2型に,また担メラニン母斑細胞の局在部位によって 3型に分けられた.先天性色素性母斑の大きさが小型,中型,巨大型になるに従って母斑性色素細胞の浸潤範囲は真皮乳頭層から網状層中層,皮下脂肪織へと浸潤していた.また頭頸部の小型の母斑の担メラニン母斑細胞は若年者では真皮乳頭層に限局し,年齢を経るに従って真皮中層にまで拡大するパターンが認められた.しかし,躯幹・四肢の小型母斑ではこの傾向は認められなかった.この結果から,頭頸部の小型先天性色素性母斑は早期に剥削術などで担メラニン母斑細胞を除去すれば瘢痕を残さずに色素斑を消失させうる可能性が示された.

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参考文献 (13)*注記

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