免疫グロブリンsuperfamilyに属する新しいB細胞分化抗原Lp-3とその抗DNA抗体産生B細胞上における発現の意義

  • 塩田 潤
    順天堂大学医学部腎臓内科学講座 順天堂大学医学部病理学第二講座
  • 岡田 隆
    順天堂大学医学部腎臓内科学講座 順天堂大学医学部病理学第二講座
  • 阿部 雅明
    順天堂大学医学部病理学第二講座
  • 西村 裕之
    順天堂大学医学部病理学第二講座

書誌事項

タイトル別名
  • A B cell differentiation antigen Lp-3 belonging to an immunoglobulin superfamily and the significance of the expression on B cells responsible for anti-DNA antibody production in murine lupus

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抄録

われわれは, 活性化B細胞中のある特定の亜集団にのみ表現される新しいマウスB細胞分化抗原Lp-3を発見し, 報告してきた. そこでわれわれは, このLp-3抗原の分子解析を更に進め, SLEを自然発症するNZB×NZW F1 (B/W F1) マウスにおいてIgM, およびIgGクラス抗DNA抗体の自然産生に関わる前駆B細胞上のLp-3抗原の発現について調べた. B/WF1マウスにおける抗DNA抗体産生はすでに2カ月齢で認められるが, 血清中や脾臓B細胞の産生する抗DNA抗体はほぼ全てがIgMクラスであった. 一方, IgGクラス抗DNA抗体の産生はループス腎炎を含むSLE病態の発症しはじめる生後5-6カ月頃より認められ, 以後抗体価が急速に上昇した. このようなIgMおよびIgG抗DNA抗体産生に関与するB細胞のLp-3を調べた結果, IgM抗体はLp-3陰性B細胞由来であるのに対し, IgG抗体はLp-3陽性B細胞由来であることが明らかとなった. また, IgM抗体産生B細胞上の膜表面免疫グロブリンはIgM+IgG-であり, IgG抗体産生B細胞のそれはIgM-IgG+であった. SDS-PAGE解析の結果, Lp-3は分子内disulfide結合を有する分子量132kDaの単量体のタンパクであることが明らかになった. Peptide fragmentのアミノ酸配列解析の結果, Lp-3は今までに報告されていない免疫グロブリンsuperfamilyに属する分子であることがわかった. これらの事実から, この抗原がある種のB細胞増殖分化因子の受容体, あるいは受容体関連分子であり, また, ループス腎炎の進展に密接に関与している抗DNA抗体のIgMからIgGへのクラス転換に関連している可能性が示唆された.

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