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- 新井 平伊
- 順天堂大学医学部精神医学講座
抄録
20世紀半ばから始まったアルツハイマー病の多くの研究によってその本態や原因が次第に解明されつつある. アルツハイマー病は何らかの原因により脳が障害され様々な変化がおき, これに基づいて記憶障害などの症状が出現してくると考えられる. 脳の中では神経細胞が死滅してアセチルコリン減少や脳萎縮がみられ, 老人斑や神経原線維変化といった異常な構造が出現してくるので, これらがどうして起きてくるのかを調べることで原因を明らかにしようとしている. また, ごく一部には遺伝子病の仲間に入る家族性アルツハイマー病もあり, この場合には原因となる遺伝子異常を探求する研究が行われている. その結果, アルツハイマー病では遺伝因子と環境因子が関わって脳の中で老人斑や神経原線維変化が起きてくることがわかりつつある. また, 家族性アルツハイマー病の場合は, 第21染色体・第14染色体・第1染色体の遺伝子異常が見つかった. また, 孤発性アルツハイマー病の場合はある遺伝子タイプを持っていることに環境因子が加わることで発症することが考えられている. 近い将来, アルツハイマー病の病因がすべて明らかになり, 根本的治療法や遺伝子治療が導入されることが期待できる.
収録刊行物
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- 順天堂医学
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順天堂医学 47 (2), 191-193, 2001
順天堂医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680724822144
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- NII論文ID
- 130004711691
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- ISSN
- 21882134
- 00226769
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可