IgA腎症の病因解明にむけて

  • 鈴木 祐介
    順天堂大学医学部内科学教室腎臓内科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Challenges to enigmas in the pathogenesis of IgA nephropathy

抄録

IgA腎症は予後不良の疾患であるが, その病因は未だ不明である. これまでの多くの基礎研究より, 液性および細胞性免疫の異常がともに病因に深く関わることが示唆されている. 一方で, IgA腎症患者の骨髄や粘膜での異常が知られ, 病因の首座として『Mucosa-bone marrow axis』が注目されてきたが, その詳細な機序は不明である. この複雑系を読み解くには, ヒト臨床検体による検討のみでは自ずと限界があるため, 妥当性をもった動物モデルを用いた病態の解析が必要である. われわれは, 複数の有用なモデルを開発し, 『Mucosa-bone marrow axis』における異常を検討している. それらの結果とそれに基づく臨床研究などから, 免疫寛容が破綻した粘膜で異常な感作を受けた責任細胞が, 骨髄や全身のリンパ組織に播種し, そこで腎症惹起性糖鎖異常IgAを産生している可能性が示唆された. したがって, 全身に播種した病態に関わる免疫記憶細胞そのもの, あるいは粘膜で異常感作を受ける段階で治療介入することが将来的な治療に必要であることを考えている.

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参考文献 (38)*注記

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