二分脊椎を伴わない脊髄係留症候群に脊髄脂肪腫を合併した1例

DOI
  • 寺本 周平
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 田畑 聖吾
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 杉本 一樹
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 棚平 健
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 岡田 龍哉
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 谷脇 琢也
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 藤本 徹
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 水田 博志
    熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学分野
  • 瀬井 章
    荒瀬病院

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抄録

二分脊椎を伴わない脊髄脂肪腫による脊髄係留症候群に対して,硬膜形成術を行った成人の1例を経験したので報告する.【症例】39歳男性,37歳時より両殿部から両下肢痛と排尿障害が出現した.単純X線で二分脊椎は認めず,MRIでは脊髄円錐はL4レベルで低位脊髄を呈し,L4~S1レベルで円錐背側の脊髄脂肪腫により,円錐,馬尾の圧迫を認めた.椎弓切除及び硬膜形成術を施行した.下肢痛と排尿障害は改善しJOA スコアは15点から20点へと改善した.【考察】成人発症の二分脊椎を伴わない脊髄脂肪腫による脊髄係留症候群は稀である.成人発症の機序として,脊髄と癒着した腫瘍とのmicromotionによる微小損傷や循環障害が原因と考えられている.脊髄脂肪腫の摘出は神経症状増悪の危険性が高いため,脊髄脂肪腫の摘出は行わずに,椎弓切除と硬膜形成術による脊髄と馬尾の除圧を行った.術後1年と短期成績ではあるが,良好な結果が得られた.

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