先天性真珠腫に弛緩部型真珠腫を合併した1症例

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  • A CASE OF CONGENITAL CHOLESTEATOMA WITH PARS FLACCIDA CHOLESTEATOMA

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抄録

我々は先天性真珠腫に弛緩部型真珠腫を合併した1症例を経験したので報告する。症例は53歳男性である。数年前からの左聴力低下を主訴に前医を受診した。左耳の弛緩部型中耳真珠腫の疑いにて当院へ紹介受診となった。側頭骨 CT において術前より鼓膜張筋腱の上方に存在する軟部濃度陰影を認めてはいたが, 鼓膜所見で上鼓室の陥凹を認め, 弛緩部型真珠腫として鼓室形成術を施行した。しかし, 術中所見で上鼓室に弛緩部型真珠腫の上皮とは明らかに連続性のない先天性真珠腫と考えられる孤立性病変を認め, 先天性真珠腫に弛緩部型真珠腫を合併したものと診断した。先天性真珠腫が上鼓室のみに存在する症例は稀で報告も少ない。従来まったく成因が異なるとされている両疾患であるが, 先天性真珠腫が上鼓室の aeration をブロックしたことにより続発性に弛緩部の陥凹を生じたものと考えられた。

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