児童の系列観命の発達的研究

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タイトル別名
  • A study of development of school children's conception of series
  • Chiefly in the seriation of numerals and figures
  • 数字と図形の系列化を中心とした考察

抄録

本研究は,具体的操作の段階と目される小学校児童の系列観念を系列材料に着目して位相操作の面で明らかにしようとするものである。材料は数字系列と幾何図形系列で, いずれも位相操作を必要とする循環系列であって, その操作の安定性と柔軟性をとらえるために, 誤答を位相分析によって検討する。その結果, 次のことが明らかになった。<BR>1. 誤答を個人がおかす平均数の上からみると, 数字系列の場合は (1年)→(2・3・4・5年) →(6年) と段階的に減少し, 幾何図形系列の場合には (1年) → (2・3・4・5・6年) と2段階に減少している。そして, 5年までは両者平行してその材料差が認められないが, 6年になると数字系列の方の誤答数が幾何図形系列のものより少なくなる。<BR>これを誤答の位相分析により位相操作の面で検討すると,(1年)→(2・3年)→(4・5・6年) といった段階的変化がみられ, 2年と3年では材料差は認められないが, 1年ではかえって幾何図形系列の方が誤答数少なく, 4年以上ではそれが逆転して数字系列の方の誤答数が少なくなることが見出された。それは, 1年では位相操作といっても直観的次元での系列化であってその外的操作に依存するがためであり, 4年以上の場合はそれを内的操作に訴えるために数字系列が有利となったと解せられる。すなわち, 高次の系列化では数字系列の方が幾何図形系列よりも有利であるといえよう。<BR>2. 位相操作の安定性と柔軟性の度合いを, 個人がおかす誤答型の最低度のものに着目してその発達をみると,(1年)→(2・3・4・5年)→(6年) という段階的変化が見出される。1年は直観的次元の系列化であってまだ幼児期的色彩が濃厚である。次の段階は2年から5年までの期間で, 位相操作は可能ではあるがそれがまだ十分な安定性と柔軟性を獲得するまでには至っていない。しかし, この期間内でも (2・3年)→(4・5年) といった下位的区分も可能で, 特にその後半期間は次の段階次元の反応を強く示し, いわば, それへの移行期として考えることもできる。6年は安定した柔軟な系列操作をする, いわゆる形式的操作の段階に到達したことを示す。<BR>なお, 本研究における学年表示は当該学年の末期であることからCA7才から12才までの期間を取り扱ったことになる。したがって, 本研究の材料からする検討のかぎりにおいては, Piagetの段階区分法からの逸脱はみられない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680436838400
  • NII論文ID
    130004715085
  • DOI
    10.5926/jjep1953.16.1_32
  • ISSN
    00215015
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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