-
- 星野 喜久三
- 北海道教育大学
書誌事項
- タイトル別名
-
- THE ABILITY TO IDENTIFY THE AFFECTIVE MEANINGS OF FACIAL EXPRESSIONS AT SUCCESSIVE AGE LEVELS
抄録
3才から21-22才にわたる288人 (男子153人, 子135人) の被験者について6枚の表情略画にたいする感情的意味理解の2, 3の側面が研究された。まず, 表情理解力を明らかにするために, 従来から用いられてきた自由命名法 表情画の示す意味について自由に述べさせる) と選択法 (提出される表情名称に適切な表情画を選択させる) 併用された。つぎに, 6枚の表情画にたいする好みが順位づけ法によって調べられた。さらに, 自由命名法のもとで表情画にたいする被験者の知覚の水準が検討された。実験はすべて個人的に実施された。得られた結果は次のようであった。<BR>1. 表情の正確な理解力は自由命名法と選択法のもとで年令と共に有意に増加している。しかし, この能力は年令と共に均一の割合をもって増加しているのではなく, 年少期において急激に増加し, 以後年長になるにしたがって緩慢な増加を示している。<BR>2. 自由命名法と比較して選択法のもとではとくに幼児期においてより高い正答率がみられる。<BR>3. すでに3才児のほとんどが表情を通して‘喜’,‘怒’,‘哀’,‘楽’の基本的感情の意味を的確に理解しているといえる。<BR>4. 選択法のもとで喜びと楽しみの混同, 悲しみと不満の混同, 怒りと不満の混同がみられる。つまり, これらは快情緒同士, 不快情緒同士の混同である。<BR>5. 怒りと悲しみの表情はもっとも正確に理解され, つぎに笑いの表情が理解されやすく, 楽しみと不満の表情はもっとも理解されにくい。この順序は自由命名法と選択法のもとでほぼ共通している。<BR>6. 女子は男子よりも表情理解において秀れている (これは選択法のもとで有意である)。<BR>7. 喜び, 楽しみ (快表情群), 不満, 無表情(中性表情群), 悲しみ, 怒り (不快表情群) の順に表情は好まれる。<BR>8. 幼児期では活動表出の知覚 (‘笑っている’,‘泣いている’など) が情緒表出の知覚(‘喜んでいる’,‘悲しでいる’など)より優位であるが, 年令と共に前者が減少するに反して後者が増大し, 成人では活動表出の知覚は僅少であって大部分は情緒表出の知覚によって占められている。matter-of-fact知覚または非表出的知覚 (‘目をつむっている’,‘眠っている’など)はどの年令でも表出の知覚よりもはるかに少ない。
収録刊行物
-
- The Japanese Journal of Educational Psychology
-
The Japanese Journal of Educational Psychology 17 (2), 90-101, 1969
The Japanese Association of Educational Psychology
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680437003392
-
- NII論文ID
- 130004715103
-
- ISSN
- 00215015
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可