ヒト生殖能力評価手法に関する予備的調査 受胎待ち時間調査法に関する検討

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タイトル別名
  • PRELIMINARY STUDY ON MEASUREMENT OF HUMAN FECUNDITY APPLICABILITY OF TIME TO PREGNANCY WITH JAPANESE SUBJECTS
  • ヒト セイショク ノウリョク ヒョウカ シュホウ ニ カンスル ヨビテキ チョウサ ジュタイ マチ ジカン チョウサホウ ニ カンスル ケントウ

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抄録

目的 内分泌攪乱化学物質の曝露によるヒト生殖能力への影響評価指標として妊孕力に注目し,その測定法として受胎待ち時間(Time to pregnancy:カップルが避妊を止めてから妊娠するまでの期間)調査法を用いることとした。受胎待ち時間の延長は生殖過程が傷害されている可能性を意味している。この調査は未だ日本人を対象として行われたことがない。そこで,本研究では,日本語版の受胎待ち時間調査用質問票を作成し,日本人を対象とした調査においても適用可能であるかを予備的に調査することを目的とした。<br/>方法 受胎待ち時間や妊娠出産歴,性習慣,対象者(妊婦)およびその性的パートナーの嗜好や食生活などに関する自記式質問票を作成した。2000年10月から2001年 3 月の期間に東京都内の某総合病院産婦人科を受診して,臨床的に妊娠が認められた初診時の患者を調査対象とし,質問票を配布した。受胎待ち時間を長短で 2 群(I群:受胎待ち時間≦6 か月,II群:>6 か月)に分類し,カイ二乗検定,Mann-Whitney の U 検定,二項ロジスティック解析を用いて,解析を行った。<br/>成績 質問票は92人に配布,回収された。受胎待ち時間の回答が得られたのはそのうちの69人(75.0%)であった。回答された受胎待ち時間の分布は,既往の文献で報告されている分布と類似していた。データ解析の結果,対象者の喫煙率が,I群は19.2%,II群は62.5%とII群が有意に高くなった(P=0.00)。パートナーのうち喫煙者の喫煙本数はI群が15.6本/日,II群が24.6本/日とII群が有意に高くなった(P=0.00)。二項ロジスティック分析の結果,対象者の喫煙に加えて,過去の妊娠回数,魚(対象者)および牛乳(パートナー)摂取頻度が有意な変数として選択された。<br/>結論 質問票の回答率や回答された受胎待ち時間の分布などから,受胎待ち時間調査が日本人を対象とした妊孕力の評価方法として適用可能であると考えられた。さらに,受胎待ち時間に影響を与える因子について予備的に検討した結果,妊娠回数,喫煙,魚・牛乳摂取頻度など食生活が影響因子として示唆された。

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